サルデーニャ島の中西部オリスターノ湾にはスターニョと呼ばれるいくつもの潟(かた)があり、そこは満潮のときには海水と淡水がまじり合う「天然のいけす」となりボラが育ちます。 紀元前から地中海各地での交易をさかんに行っていたサルデーニャでは、8~9月の漁でとれたボラの卵巣を塩漬け、乾燥・熟成させ、長い船旅に積み込む保存食でした。
「カラスミ」というと日本では長崎の特産で、和食を思い浮かべる方も多いと思いますが、遠く1万キロもはなれたイタリアの海でも古来より作られてきた伝統食材。特にボラ(ムッジネ muggine)の卵巣から作られるボッタルガは「サルデーニャのキャビア caviale sardo」とも呼ばれます。
【 材料(2人分) 】
ingredienti per 2 persone :
●からすみ(ボッタルガ)約30g
●スパゲッティ 200g
●サルデーニャ産EXVオリーブオイル 適量
●季節の青野菜(写真はしし唐)
●にんにく 半~1片
●乾燥とうがらし ひとつまみ
●天然塩 適量
【 作り方 】 modo di cucinare :
(1)ボッタルガ(からすみ)は出来あがったパスタにかけるので、あらかじめパウダー状にしておきましょう。(チーズおろしや大根おろしでホロホロけずれます)
日本のカラスミはねっとりと水分が多く軽く炙って食べるのが一般的ですが、イタリアのボッタルガは水分が少なく、塩味がまろやか、生臭みがまったくないのでフレッシュのまま美味しく召し上がれます。 本場サルデーニャでの一般的な食べ方としては、薄切りにしてレモン果汁、オリーブオイルをかけて楽しみます。
そして、やっぱりパスタ! 粉状にすりおろしてパスタの仕上げに、たっぷり豪快にかけちゃいましょう♪ (レストランで食べるとちょっぴりだったりしますものね)
(2)このパスタ料理のベースは、『アーリオ・エ・オーリオ(ペペロンチーノ)』なのですが、まず注意する点はニンニクと唐辛子を控え目にすることです。 主役はあくまでボッタルガ(からすみ)なので、その個性的でデリケートな味わいと香りを生かすために、やさしいアーリオ・オーリオを意識しましょう。
では、いつものように細かく切ったニンニク、唐辛子をオリーブオイルと弱火にかけます。 もちろんフライパンの予熱はなし。 コールドな状態から弱火でじっくり熱して、香りと旨みを引き出します。 ニンニクは出汁のような役目なのでぜったいに焦がさないこと! 香ばしいのもNGです。
(3)ニンニクにほんのり火が通ったところで、今回は夏らしく「しし唐」を炒めましょう(※写真は1人前の量で作っています)。軽く火を入れるだけなので弱火から中火で、ニンニクを焦がさないよう面倒みてあげます。この際に、「しし唐」に下味として塩をふっておきます。
ボッタルガ(からすみ)には少し苦味のある青い野菜が色合いともに相性がよいので、たとえば春先なら「菜の花」をパスタと一緒にゆがいて合わせても美味しい!
(4)しし唐を炒めたら、パスタのゆで汁をレードル1~2杯加えて、火を止めます。 これでソースのベースの出来あがり。 慣れてれば、「アーリオ・オーリオ」を火にかける時点で同時にパスタを茹で始めても構いませんが、あらかじめフライパンでの作業を済ましておくのが安全パイではあります。 パスタのゆであがりが迫ってくると焦りますしね(☆お店のコックさんはプロなので、同時進行でもテクで時間調整できます)
▼参考【ロングパスタの茹で方】
(5)あとは茹であがったパスタをフライパンに入れて火にかけ、ソースの水分と味を調整していきます。
「アーリオ・オーリオ」は、加えた茹で汁とオリーブオイルを乳化させてトロミを出すのがキモなので、シャバシャバにならないように、カラカラにならないように。(水分を飛ばしすぎるとオイルしか残らずテカテカになる)
なので、いつものアドバイスですが、きもち固めでパスタを茹で上げてフライパンの中で調整していくとよいでしょう。 固ければ水を加えて煮詰めればOKです。 味が薄ければ茹で汁。 ちょうどなら真水。 ただし、最後にかけるボッタルガ(からすみ)にも塩分があるのでちゃんと計算に入れておきましょう。
(6)出来上がったパスタをお皿にキレイに盛りつけたら、おろしておいたボッタルガ(からすみ)を「これでもかっ!」というくらい上からかけちゃいます!せっかくの高級食材なのだから、むしろ思いっきり使ったほうがハッピーというものです♪
仕上げに良質のEXVオリーヴオイルをたらすと更にグレードアップしますが、やはり同郷サルデーニャ島のオリーヴオイルがひじょうにマッチしますね。