【ヴィンコット vincotto】とは??
ヴィンコット(ビンコット)とは、完熟したブドウをぎゅっと搾ったジュースをじっくりゆっくり煮詰めてから、オーク木樽で熟成させた南イタリア発祥の天然のソース・甘味料。イメージとしては、お酢じゃない「バルサミコ Balsamico」のような感じで、その作り方や使い方もよく似ている親戚筋ともいえるイタリア食材・調味料の一つです。
その風味は円熟の高級バルサミコさながら!ネットリ甘くてコクがあり、それでいて自然の滋味に溢れた超ナチュラルテイスト♪何年も熟成させたバルサミコ・トラディツィオーネを思わせる、ヴィンコット・ソースの熟成感とまろやかな奥深い香りの広がり… イタリア料理にのみならず、工夫とアイデア次第でお刺身や煮物、照り焼きなどの和食レシピにまで幅広く活躍しちゃう!まさに「イタリア版の隠し味」的な存在。アイスクリームやチーズ、ヨーグルトなど乳製品との相性も抜群ですよ!
やっぱり最高クオリティのVincotto(ビンコット)はジャンニ・カロージュリで決まりです。
ビンコットが初めての方なら、プレーンのヴィンコット・オリジナルが汎用性も高くオススメ!作り方の近いバルサミコ酢はすでに日本でも有名で一般的なスーパーでも入手しやすいですが、やはりビネガー系は使いこなすのが難しくて…という、そんなあなたにヴィンコット・ソース!(笑)よりシンプルな使い方のできるVincottoは、本当に何にでもかけてみたくなっちゃうんです♪きっとハマりますよぉ^0^
ヴィンコットってなぁに?
日頃からイタリアの食文化に関心をお持ちの方や、イタリア料理店のコックさんやサービススタッフの方にとっては、常識でしょうか?(いやいや、専門誌などで取り上げられる機会は減ってるから若い人は逆に知らないかも?)
『あぁ、ヴィンコットね。』
とアッサリ言われたとしても…!
いずれにせよ、素人さん玄人さん問わず、はじめましての方は常にいるはずだから、しつこく紹介し続けます!(笑)それがイタリア食文化に携わってきた者として担うべき役割の一つだとすれば、何度でもくり返しますとも私は!
最初に日本に入ってきたのは2000年前後だったと思います。2001年4月号の、とある料理専門誌にこんな記事がありました。
南イタリア・プーリア産のブドウからつくられる天然甘味料”ビンコット”が、池袋東武プラザ館地下1階「世界の特選フーズ」に日本初上陸した。
当時、21世紀に入ったばかりの頃(さほど前でもない気もするけど大昔ですね…)当時のイタリア料理の業界は、常に目新しさに溢れていました。まだ、インターネットも広まったばかりで、当然スマートフォンやFacebookもなかった時代。
プロの料理人でも、こういった料理専門誌こそが最新の情報ソースでした。
食材でもワインでも、何だって同じでしょうけど、生産者さん達の取り組み自体には、あまり心配いらないかもしれません。彼らのロジックはとてもシンプルで、良い物をより良く作り続けたいという思いが根底にあります(もちろんそれがイコール経済にならないのがツライ所なのですが)
ハードルがあるとすれば、輸入者さんや販売店が、良いものを紹介し、ユーザーのもとに届け続けることが出来るか否か、でしょうか。伝える仲介って絶対にいてくれなきゃイケナイんですよ。
さて、前置きが長くなりましたが、ヴィンコットのおさらいをしましょう。
もちろん、食べてもらえれば100倍は早いですけどね♪ 私がオンライン販売し始めた頃にはとても苦労したものです(取り扱う当初は、「ネットじゃ売れないわよ?」と社長さんに言われました笑)
ヴィンコットは、イタリア語で「Vino cotto(ヴィーノ・コット)」。つまり「煮たワイン」という意味。でも実際は赤ワインを煮詰めるわけでなく、収穫後の葡萄をしぼったブドウ果汁なのですが、それをじぃ~っくり煮詰めて、トロトロの凝縮された甘いエキスにします。
ブドウを圧搾した果汁を『mosto モスト』と言います。ただしmostoとは葡萄に限らず、たとえばオリーブオイルになる前のオリーヴ果汁にも使われる言葉です。ちなみに赤ワインも白ワインも、葡萄をモストにしてからアルコール発酵・熟成させてつくるお酒なんですね。
一方、それを発酵させずに煮詰めた状態が「モストコット mosto cotto」。ヴィンコットの第一段階であり、かのバルサミコ酢の原料でもあります。そう、先述の通り、ヴィンコットはお酢じゃないバルサミコのような雰囲気なのです。ヴィンコットは煮詰めたブドウ果汁を樫の木樽で4年間熟成させて完成となります。ちなみに、アチェート・バルサミコとの違いですが、バルサミコ酢のほうは酢酸発酵させて樽を移し替えながら熟成させるという点で異なります。
100%天然の原料。アルコールや酸、砂糖、着色料、保存料、添加物は一切不使用です。ブドウ果汁を凝縮したものですから、普通の赤ワイン以上にポリフェノール(抗酸化作用)を含んでいることも特徴です。健康食品としても良質なのです。
う~ん、これはね、実際に味わってもらえれば誰もが納得するでしょうね… そう!シンプルなバニラアイスクリームとかヨーグルトにそのままかけて食べるとすっごく美味しい!リコッタチーズはもちろん、たとえばブッラータチーズなんかも最高です♪
Pollo al Vincotto con Patate Schiacciate alla Montagna
鶏のヴィンコット・ソース 山盛りのマッシュポテトと
こちらは以前に、あり合わせの材料で作ったある日の我が家の夕食です。このヴィンコット料理をセコンド・ピアットに、オルツォ(大麦)と野菜のズッパ、Chianti Rufina Riserva 97'と。けっこう贅沢な晩餐でしたね♪
オレンジ風味のヴィンコットをソースの仕上げに使いました。
アグロドルチェ(agrodolce 甘酸っぱい味)って鶏肉に合うのです。本当は、野性味のある鴨などがより良いですけどね。バルサミコ・ソースに、モスタルダを添えたり。少し前に「Da Amerigo」の仔ウサギがこんな感じのソースでとてもおいしかったので、ちょっとマネて作ってみました。ポテトも♪
ヴィンコットはアチェート入り(ワインビネガー)の酸っぱいタイプもあって、いろんなお料理に応用できちゃう!イチジク風味のビンコットもオススメですよ!
ちなみに、こういうのもアリ!
テリと甘みに「ヴィンコット Vincotto」を使っています。ブドウと醤油は、何気にバツグンの相性!
【 作り方 】
(1)日本酒50cc 醤油25cc ヴィンコット大匙1.5 生姜の輪切りを2枚
(2)ブリ切り身(3枚)を5~10分程度、軽く漬ける(途中ひっくり返す)
(3)少し油を敷いたフライパンで、漬け込んだブリを両面、焼き色をつける。
(4)煮汁を加え、煮詰めながらタレを切り身に回しかける(途中ひっくり返す)
(5)火が通ってテリがついたら魚を取り出し、タレをトロリと詰めて仕上げ。
お料理には、お砂糖を使いすぎないのがコツ。素材の”あまみ”は繊細なので、砂糖の甘みは強すぎることも。(もちろん、必要な味なら加えます。 そこは塩梅。)
ぶどうの天然甘味料『ヴィンコット』の自然な甘みは、和食にもピッタリなんです♪
物も、情報も、
いまは出るもの出尽くした世の中。
それでも、最後に求められるのは『本質性』なのだ、と考えるようにしています。良いものは、良いもので在り続ければ、それでいいわけです。
目新しさを追求しつづける事の限界は、とっくのとうに、わかっているはず。何とか深めていきたいですよね。もちろん、取り入れて開花した文化や技術もあって、エスプレッソなんか随分と市民権を得た気はします(だいぶシアトル系が強いですが…)
ラテアート大会でチャンピオンになったこともある、バリスタさんの実演デザイン・カップチーノ。こういったモノは90年代には絶対に出会うことのなかったモノなのに、今では身近なカフェレベルでも楽しめるようになってますよね!
私が若い頃は、新宿のオシャレな喫茶店でも、モコモコの泡ミルクに、シナモンスティックが刺さってましたもの(笑)
欲を言えばですけど、本場イタリアさながらのバール&エスプレッソ文化が根付けば言うことはないのですが(関係者の方々の努力に敬意をはらいつつも) やはりマイノリティであることは否めずです。まあ、日本のコーヒー文化とはまったく異なる成り立ちですし、ちゃんとイタリアまで行って満喫しなさいよ、というコトなのでしょう^^
もちろん、あきらめちゃえばいいって話では決してなく、やはり地道にコツコツ、文化活動としても携わりつづける先にこそ光があるのです!(もちろん、その志と、市場のバランスは別問題というのも分かってはいます^_^;)